ごあいさつ

 瘢痕・ケロイド治療研究会(Japan Scar Workshop)は2006年に発足いたしました。2006年はフランスにおいて第1回国際瘢痕会議(Scar Meeting)が開かれた年でもあり、瘢痕・ケロイド治療の夜明けでありました。瘢痕・ケロイド治療研究会ではその後、年1回の研究会の際に開催されたパネルディスカッションによって様々な成果を得ることができました。1つは、誰もが容易にケロイド・肥厚性瘢痕を診断できることを目的に作成した「Japan Scar Workshop Scar Scale: JSS」です。これは第1版が2011年に、第2版は2015年に報告され、最新版であるJSS 2015が汎用されています。もう1つは、2018年7月に出版された、臨床に即した診断・治療指針である「ケロイド・肥厚性瘢痕診断・治療指針2018」です。これは、ケロイド・肥厚性瘢痕の治療を専門とする施設の先生方だけでなく、一般的な形成外科や皮膚科の先生方にもご利用いただけるよう、工夫がなされた診断・治療指針です。ぜひご活用いただければと思っております。いままで13年にわたって活動してこられた研究会会員の皆様のご尽力の賜物であり、いままで治療が困難であったケロイド・肥厚性瘢痕に対する医療の改革であると自負しております。

 ところでフランスのScar Meetingは、Scar Club Meetingと名前を変えた後、Global Scar Society(G-ScarS)となり現在も大きな国際学会となっています。瘢痕・ケロイド治療研究会でも2010年には、当時のScar Clubの分科会としてInternational Scar Meeting in Tokyo (ISMT) 2010を開催し、世界的に著明な瘢痕治療に携わる基礎研究者や医師が日本に集まりました。2020年には、ISMT2020が東京オリンピックの後に開催されることが決定しています。また、新たな潮流として2017年にAsian Pacific Society for Scar Medicine(APSSM)が 発足し、2019年には同じく東京で第2回の研究会が開催される予定となっております。このAPSSMでは、アジア人で特にケロイド・肥厚性瘢痕が重症化する事実から、美容的側面のみが取り上げられがちな西洋主体の瘢痕学会とは異なるテーマが熱く議論されています。

 このように、瘢痕・ケロイド治療研究会の歩みとともに、ケロイド・肥厚性瘢痕、そして瘢痕拘縮、醜状瘢痕といったものの発症機序解明、診断・治療法が格段に進歩してきたと言えます。2018年8月1日より、瘢痕・ケロイド治療研究会の運営事務局が株式会社春恒社に移行するとともに、新たな役員も加わりました。今後も、研究会役員・会員一丸となって瘢痕・ケロイドで悩む患者さんを1人でも多く救うために尽力してまいりたいと存じます。皆様のご理解・ご支援・ご協力の程何卒よろしくお願い申し上げます。

代表理事 小川 令

代表理事 小川 令
日本医科大学形成外科学教室 主任教授

2018.9.1

瘢痕・ケロイド治療研究会 発足のご挨拶

 瘢痕やケロイドの治療は国際的な関心が高まっており、2006年3月にはフランスで第1回国際瘢痕会議(1st Scar Meeting)が開催されました。
 2006年に発足させていただきました、この瘢痕・ケロイド治療研究会では、瘢痕の保存的・外科的治療、またケロイドや肥厚性瘢痕の保存的・外科的治療、また瘢痕に関する基礎的研究の成果を幅広く扱っています。特に、ケロイドの放射線治療やレーザー治療に関しましては、科学的な検討が急務と思われ、それらの治療効果について勉強し情報交換する研究会となっています。
 医師はもちろん、看護師、放射線技師、薬剤師をはじめ医療関係者の皆様の研究会へのご参加、またご入会をお待ちしております。日本国内での瘢痕治療の統一見解、さらには国際的なリーダーシップを得るべく研究会として努力させていただく次第です。また、研究会では年に1−2回瘢痕・ケロイド治療ジャーナルを発行いたしますので、こちらも併せてよろしくお願い申し上げます。
 
発起人代表:
 日本医科大学 形成外科 教授 百束比古
 日本医科大学 放射線科 教授 宮下次廣

事務局:
 日本医科大学 付属病院
 形成外科・美容外科講師 小川令
 形成外科・美容外科助手 赤石諭史(事務局長)
 住 所:東京都文京区千駄木1−1−5
 TEL:03−5814−6208
 FAX:03−5685−3076
日本医科大学 形成外科
教授
百束 比古
日本医科大学 放射線科
教授
宮下 次廣

2006.4.1

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